148センチの日常

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【新しい角度から心の病気を考える】「心の病気ってなんだろう?」が教えてくれた3つのこと

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こんにちは、

こゆきうさぎです。

 

うつになってから

うつ病とは」といった解説本を

何冊か読みました。

 

そうした本は

うつという病気を

早くわかりやすく知るためには

とても役立ちます。

 

しかし

早くわかりやすく知った

その知識だけで、

 

心の病気ってなんだろう

というところを考えずにいて、

 

本当に

それでよいのだろうか

思うようになりました。

【中学生の質問箱シリーズに、この本がある意味】

今回紹介する

「心の病気ってなんだろう?」は、

「中学生の質問箱」シリーズの中の

1冊です。

 

著者は

精神科医松本卓也さんです。

 

 

第1章の

「心の病気ってどういうもの?」

読みはじめたときは、

 

「なんだか難しい・・・

これ本当に中学生向け?」

 

と感じました。


しかしその難しさの理由

文章が難しいというよりも、

 

この本を理解するために

たくさんの思考が必要だからだ、

と気づきました。

 

この本は文章を暗記しても

まるで役に立ちません。

 

すこし抽象的な表現を

いかに自分の言葉で言い直して、

 

つまり

自分で思考して理解することで

はじめてわかる内容だからです。

 

この本からは

 

「自分で思考して理解することを

やめないで」

 

「そして世の中を泳げる力を

どんどん得ていくんだ!」

 

という

著者からの強いメッセージを

感じます。

 

特に概念的なものが多い

第1章を読み進めるのは、

なかなかにしんどいです。

 

でもきっと

この本を読みきったときには

心の病気について根本から

知っただけでなく、

 

自分の言葉で理解するよろこびをも

感じられるでしょう。

 

【病気を抱えた人の困りごとに注目する】

さて、そんな

「心の病気ってなんだろう?」

という本が

わたしに教えてくれたことは、

3つあります。

 

 

まず1つ目

「病気そのものばかり

着目するのではなく、

 

病気を抱えた人の困りごとに

注目すること」

 

です。

 

心の病気も

身体の病気も、

すべてその症状を取り除くことが

難しい場合も多々あります。

 

でも、そうした人たちは

暮らしていけないのか?というと

そうではありません。


病気の症状がゼロにならなくても

その症状からくる困りごとを

工夫によってなくしていけば、

 

当人もまわりの人も

しあわせに暮らすことは

できるからです。

 

症状そのものを無くすのではなく、

症状があっても

暮らしていける工夫をすることは

まったくちがう考え方です。

 

そしてしあわせに暮らす、という

目的が達成できるならば

 

症状があっても工夫して暮らしていく

という道を選んだって

なんの問題もありませんね。

 

【善意から出た行動が、本人にとっての悪意に変わるときがある】

2つ目

「当人のことを考えていない、

みけかけだけの一方的なやさしさは、

 

迷惑以外のなにものでもない」

ということです。 

 

(中略)今でも

注意しなければならないこと

たくさんあります。

 

それは、

「医療や福祉における悲惨は、

善意の顔をしてやってくる」

ということです。

 

 (「心の病気ってなんだろう? 」より引用)

 

言葉では

「本人のため」と言いつつ、

結局は理想の姿を本人におしつけ

 

「この理想の姿になりなさい」

ということって、

考えてみるとよくありますよね。

 


でもそれはまさに

「ありがた迷惑」です。

 

そして厄介なのは

それを押しつけてくる人は

善意で行っている、ということです。

 

しかしたとえそれが

善意の気持ちから出た

言動であっても、

 

本人の望む形から

かけ離れているのであれば、

悪意とほぼおなじことなのです。

 

それは決して他人事ではなく、

 

自分が善意で行っていることにも

「ありがた迷惑」が

潜んでいるかもしれない

 

ということでもあります。

 

わたしはこの文章を読んだとき、

看護師として働いてきた間に

患者さんのために立てた

看護目標が、

 

「本人のため」と言いつつ、

結局は理想の姿を本人におしつけ、

 「この理想の姿になりなさい」

という押しつけの看護だったものも

あったのではないか、と

不安を覚えました。

 

だからこそ

「心の病気ってなんだろう?」

という本は、

 

中学生だけでなく

これから医療に携わろうとしている人

すでに医療に携わっている人にも

ぜひ読んでほしい本なのです。

 

自分の行動の根本には、

なにがありますか?


その行動は本当に、

相手のためになっていますか?


その視点から自分の言動や

他人の言動を考えていくことが

どんなに大切なことなのかを

考えさせられました。

 

【回復するとは、元に戻ることでなく、生き方の再構築をすること】

3つ目は

「回復する」ということは、

前の状態とは違う形の生き方

手に入れられるようになること

です。 

 

病気を通り抜けることによって、

自分のライフスタイルが

変化し、

 

さらには

自分が変化する

ということです。

 

  (「心の病気ってなんだろう? 」より引用)

 

現実にはまだまだ

「回復=元に戻る」と

信じている人の方が

多いと思います。

 

看護師として働いていたころ、

患者さんやその家族からは

よく「元通りになりますか」という

言葉を聞きましたし、

 

わたしもしばしば

「前とおなじくらい

元気になったね」

と言われます。


でも「回復する」ということは、

元通りになることではありません。

 

たとえ症状がゼロになって

元の生活とほぼおなじ生活に

なったとしても、

 

病気を乗り越えたことで

自分の内面は変わっています。

 

わたしもうつになりましたが、

おそらく見た目的には

変わったように見えないでしょう。

 

でもうつを経験し、

今までの生き方を見直すなかで

今までとはちがう自分が

日々新しく築かれています。


病気を通して経験したことが、

内面を変えていくからです。


また、

もし身体的な症状があったとしても、

工夫をして

困りごとにならないように

している方もたくさんいます。

 


そういう変化や工夫を経て、

今の暮らしているところに

 

「前みたいに戻ってよかったね」

 

と声をかけられたら、

どうでしょうか。

 

内側の変化は

目に見えにくいものなので、

しかたがないのかもしれません。

 

でもやっぱりわたしは、

うつから回復している途中の

わたしは、

 

「元通りになってよかったね」と

声をかけられたら

凹んでしまうのです。

 

【今まで見たことのなかった方向から、心の病気について考えていける】

「心の病気ってなんだろう?」

という本は、

今までにない視点から

書かれているため

 

読み終えるまでには正直、

とてもエネルギーがいります。


でも読み終えたときには、

今まで自分になかった方向から

世の中や心の病気について

考えている自分に気づくはずです。

 

この本を

中学生だけのものにしておくのは

とても惜しいです。

 

この本が

医療者を含めた多くの方に

広がってほしい

心から思います。

 

ではまた。

 

【今回紹介した本はこちら】