148センチの日常

ちょっとラクに日々生きる!うつになったから思うこと、大好きな本や暮らしの出来事をつづるブログ

【死について確かに「知る」】死について学ぶことは、人生を豊かにする

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【“治療の場”に、自然に天寿をまっとうしようとする方が運ばれることでの葛藤】

私は以前は

病院の看護師として

働いていました。

 

病気療養の経過で

残念ながら亡くなられる方も

おられましたが、

 

なかには

高齢による天寿をまっとうする流れにいながらも

「元気がないから治療をしてくれ」

という周りの人からの要請で、

病院に搬送されてくる方もいました。

 

病気でもなく、

“老”を経て“死”へ向かう自然の流れのなか、

食が細くなり、

眠りが多くなっていく・・・

 

“老衰”でこの世を去る準備をしている方に、

食事を食べさせる工夫をしたり、

点滴をし、胃ろうを作ること…

 

それは果たして“必要な治療”なのか、

ご本人の苦しみにつながっているだけではないか、

誰にとって“必要な治療”なのか

何度も思ったことがあります。

 

しかし、

天寿をまっとうしようとしている方でも

ひとたび病院に運ばれてしまえば、

“治療”せざるを得ません。


なぜなら病院

“天寿をまっとうする場所”ではなく、

“治療して元気になり退院する場所”

だからです。

 

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【死が身近になく、経験値が足りない!?】

 

今は昔と違って死が身近でなく、

経験値がありません。

 

親しい人の死に接することで

積めたはずの経験がありませんから、

あらかじめ少し学んでおく必要があります。

 

死にゆくとき、人の体と心にどのような変化が起こるのか、

看取る人が、それをどう感じるのか。

どう行動すればいいのか。

 

そのようなことを知っておくことで、

「ああすればよかった」

「こうしなければよかった」という後悔を、

減らすことができるかもしれません。

 

(「(死にゆく人の心に寄りそう」より引用)

 

看護師である著者

自宅で夫を看取った経験から僧侶となり得たもの、

死に向かうときの心身の変化や、

日本ではあらたな取り組みである臨床宗教師について

書かれている本です。

 

今の日本は核家族が進み、

祖父母や近所の高齢者と

日常的にふれあえる機会

極端に減っています。

 

“死”だけではなく、

“老”までも間近にみることがなく

年を重ねていく・・・。

 

そんな環境で育っていけば、

“死”や“老”に対してのイメージがもてず、

 

高齢で死が近くなった人

「治療すれば良くなるはず」

病院に連れていく人がいても

 

全然おかしくないのだ・・・と

本書を読み、思いました。

 

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【“死”について知ることは、生きるために必要なこと】

また“老”と“死”が身近になくなることで、

自分の老いや死について

イメージすることもなくなります

 

若い世代とだけ触れ合っている今、

美魔女がなぜ流行るのか、

その理由もわかる気がしますね。

 

死についての話題を出すことが

この現代においては

「縁起が悪い」という

タブーな雰囲気があります。

 

でも死について「知る」ことは

生きるためにとても必要なことです。

 

 

自然な死は、

こうした心と体の変化を経ていくこと、

 

自分もそしてまわりも

死の変化を知っておくことで、

意味のないまわりの言動に

追い詰められることも減ると思います。

 

人は遅かれ早かれ、かならず死にます。

 

いつかは皆死ぬのだから、

今からでも「死」について

学んでおいて損はありません。

 

「死」について考えたくなったら、

「なんだか死にたいな」と思ったら、

本をめくってみてもいいのではないでしょうか。

 

ネットで死について探すより、

よっぽど深く「死」について知れますよ。

 

【在宅看護にたずさわる友人の悩み】

医療者として働く人にとっても、

死を近くに感じた本人や家族の心境を

リアルに感じられるこの本は、

なくてはならない本です。

 

私の友人はいま、

在宅看護にたずさわっています。

 

日々、利用者さんやその家族と接する中で、

いろいろな悩みを抱えているようでした。

 

病院での勤務経験もある友人は、

病院の現状も、在宅の現状もわかるからこそ、

よりよいサービスを提供しようとして

板ばさみに合い、悩んでしまうようなのです。

 

利用者さんに寄りそいたいのに

医療者としての目線がどうしても

強くなってしまい、

 

「どうして利用者さんもご家族も

このサービスを使うことを

わかってもらえないんだろう・・・

という思いが、強くなってしまうようでした。

 

そんな友人に、第1章の

  • 死にゆく人の体と心に起こること
  • 大切な人の死に直面した人の心に起こること

そして第2章の

  • 「これ以上、治療を続けたくない」と夫に言われたとき
  • 在宅で死ぬことを選んだ夫との2年間
  • 在宅看取りに必要な環境
  • 「僧侶になろう」と思った日
(「(死にゆく人の心に寄りそう」より引用)

 

を読んでみてほしくて、

この本を紹介しました。

 

特に第2章では

家族として夫の変化やまわりの変化に

とまどう気持ちが手に取るようにわかります。

 

この本が、

友人にも新しい風を運んでくれればいいなと

思っています。

 

【今回紹介した本はこちら】