148センチの日常

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【カッコ悪いイヤな自分】切り捨てたい自分も、全部まるごと受け止めてくれる人と出会う

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【イヤな自分を切り捨てれば、なにもかもうまくいく?】

なにもかも、うまくいかなくて、

自分をやめたくなる。

 

自分のイヤな部分しか

見えなくなる。

 

でも、

イヤな自分を「切り捨て」れば、

本当に

強くなれるのでしょうか。

しあわせになれるのでしょうか。

 

そんなふうに思ったとき、

オススメしたい小説があります。

 

婚約者の慎一から突然、

別れを切り出された

主人公・田中妙、27歳。

 

結婚前にすでに退職していて、

まさに「うまくいかない」ことだらけ。

 

道端で泣いていた妙は、

菫(スミレ)という女性に拾われ、

菫の開く雑貨店で働くことになります。

 

菫のおつかいで行った、

ボタン屋の店主・千歳さん、45歳。

 

誰かと一緒にいれば、

元・婚約者を忘れられると思い、

妙は千歳さんと

つき合うことにします。

 

【千歳さんというオトコの本当の優しさ】

この千歳さんというオトコ・・・

 

役どころが、かなりニクイです。

 

最初は

「誰にでも優しい人」であり、

「モテる人」として書かれています。

 

正直、

あまりいい印象ではありません。

 

なぜ千歳さんは

誰にでも優しいのか?

 

千歳さんの過去とともに

その理由があきらかになるにつれ、

妙は千歳さんの「本当の心」

触れていきます。

 

【表面的なものの影に、ほんとうの自分は隠されてしまっている】

妙自身も、

菫のように強くいられない自分に

劣等感を抱いていました。

 

もし菫のような強さがあったら・・・

そう思ってしまう人の側で働くことは、

なんてしんどいのでしょう。

 

でも妙は、

千歳さんの「ほんとうの心」や、

菫の「ほんとうの心」を知り、

気づきます。

 

そもそも棘に

苛まれる必要などなかった。

 

わたしは菫さんじゃない。

 

ずっと菫さんのように

強くない自分が嫌だった。

 

でもわたしはわたしだ。

わたしにできなくて、菫さんにはできることは山程ある。

でも菫さんにできなくて

わたしにできることだってある。

 

菫さんにはない種類の強さ

わたしに備わっている可能性だって

なくはない。

 

(「ビオレタ」より引用)

 

【「妙ちゃんのような人は、妙ちゃんだけだし」】

実は私、はじめはかなり、

主人公の妙にいらついていました。

 

 

 

でも

ひとつひとつ妙の行動を見ていくと

自分と妙の似たところに

いらいらしていたんだと気づきました。

 

 

  • 人の強さと自分を比べる
  • 自分がこうなってるのは100%相手のせいだ
  • 私のことなんて誰も必要としていない

 

妙のこういう考え方は、

私が切り捨てたかった「私」と

重なるのです。

 

妙は始めは

どうやったら菫みたいに

強くなれるのか、

考えていました。

 

けれど、

そうじゃなかった。

 

いくら考えたって、

菫にはなれない。

 

切り捨てたかった自分の部分も

全部含めて「自分」なんだということに

妙も、そして私も気づきます。

 

「妙ちゃんのような人は、

妙ちゃんだけだし」

 

この人は、と思う。

 

わたしのかっこ悪い部分をこそ、

面白くてかわいいと

愛してくれる人なのだ、と思う。

 

思って、また泣きそうになる。

 

 

自分のどんくさくて、

うまくできないところも

全部全部「あなただから」

 

だから、

あなたのままでいいし、

あなたのままが

私は好きなんだ。

 

何度読んでも、

涙が流れます。

 

【私のまま、強くなっていけばいい】

自分のなかの自分を

切り捨てるのじゃなく、

自分だけの強さみつけていけばいい

 

誰かと比べて、

同じ強さをもとうとしなくていい。

 

自分のなかには、

ちゃんと

自分だけの強さがあるんだ。

 

かっこ悪い部分も、

かっこいい部分も、

全部全部ふくめて「私」だから。

 

私のまま、

強くなっていけばいいんだ。

 

そう教えてくれた小説でした。

 

【今回紹介した本はこちら】

ビオレタ (ポプラ文庫) [ 寺地 はるな ]