【田舎あるある…家をつがない子どもたち】
「長男はもう(実家)継ぐ気ないのかな」
「農業を教えるならそろそろ(父も長男も年齢的に)ぎりぎりなんだがな」
田植え前に、ぼそっと父が言っていた言葉です。
実家は長いこと兼業農家です。
しかし長男も30代半ば・・・
すでに結構離れた市外に一軒家を建てて暮らしています。
なので父の言葉を聞いたとき、
“いやー、長男、実家、正直もうつがないっしょ!!”
と内心おもいました。
そんなとき、読んでいた本がこちらでした。
この本を読んで、こどもが実家を継がない理由がわかったのです。
【変化しない実家は継げない】
いまある伝統はどんなものも
時代と環境の変化に対応して変わってきたから
生き残っている
(「日本の伝統」という幻想
より)
伝統と聞くと「ずっと変わらず続いている」イメージが強いですよね。
でも実はそうではなく、「時代と環境に合わせて変化してきた」から生き残ってきたと本書は言うのです。
でも考えてみれば実家の母家も、変化しつつ残ってきています。
大黒柱や昔の造りは残しつつ、キッチンはかまどをなくしてガスコンロにしたり。
大昔は掘りごたつでしたが、そこを埋めて電気こたつにしたり、少しずつ実は変化しています。
米作りだってそうです。
人が「おいしい!」と感じる米になるよう、日々改良やが研究され品種も改良されています。
稲刈り機やトラクター(耕運機)も今や当たり前に使われ、農業を支えてくれています。
しかし人はそうは思わない。
人は、自分がいま見ているものが開始当時から不変のまま
続いてきた伝統だと思う。
(「日本の伝統」という幻想
より)
そうなんですよね。
伝統は実は変化しているのに、人の中には「伝統は変化しないという思い込み」があるんです。
そうすると、こんなことがおこります。
伝統を信奉するあまり、
変わることで生き延びようとする伝統にブレーキをかけ、
かえって衰弱の手伝いをしてしまうことがある。
(「日本の伝統」という幻想
より)
「長男が家を継ぐの」のは、もはや当たり前ではありません。
けれど父は、長男が継ぐという伝統を守るあまり、かえって実家そのものを衰退させているようにしか見えませんでした。
実はわたしの妹夫婦は、実家の近くに住んでいます。
妹の夫も農業には意欲的なのです。
けれど、長男が家をつぐものという幻想にとらわれている父は、妹の夫に農業を教えることに踏み切れないようなのです。
【家の何を守りたいのか?を明確にすることが大事】
そういう意味では、長男はいちはやく自宅を建てて「長男が家を継ぐという幻想」から抜け出ました。
父が守りたいものは「家」なのでしょうが、それを継ぎたくない長男に無理に渡したところで、父も長男もまわりの家族も幸せになれるのかな、と疑問です。
父が守りたいものは結局「家」の何なのでしょうか。
農業?
母屋?
暮らし方?
それを細かく、明確にして、ゆずれないものと変えられるものをわけていくことが必要です。
父自身がまず自分の軸をとらえ、父自身が考え方を変えていくことが、結果的に「家を守る」ことにつながっていくと思うのです。
形ばかりの相続では、家族のだれもが幸せにはなれません。
家を守りたいなら、人が変化しないといけないのです
【今回紹介した本はこちら】