148センチの日常

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【想像力が怒りを減らす】相手の行動理由を豊かに想像できる人は、怒らない

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【人間には感情がある】

「なんで座らないのよ!

譲ってやったのに!!」

 

電車やバスで席を譲った時、

相手がその席に座らなかったことって

ありませんか。

 

そんなときにあなたが感じる感情は

なんでしょうか。

 

怒り

座ってもらえなかった悲しみ

恥ずかしさ

 

どんな感情があらわれたとしても、

それはそれで良いのです。

 

でもできれば

沸き起こった感情を

良い方向に変えていきたいですよね。

 

そのヒントになるエッセイがあります。

 

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【行動の理由は、結局本人にしかわからない】

 

小説家・曽野綾子さんによる

「美学のある晩年」について

つづったエッセイです。

 

今回はその中のエッセイのひとつ

「笑う仏たち」を紹介します。

 

まずはあらすじ。

 

田舎駅のベンチに座った著者の隣に

60代くらいの女性2人連れが座りました。

 

そこに赤ん坊を抱いた若い母親が

ベンチのすぐ前にきて、

女性たちの方を向いて立ったのです。

 

60代の女性連れのうち

1人が立ち上がって

母親に席を譲ろうとします。

 

連れのもう一人もしぶしぶ立ち上がり、

その席から離れていきました。

 

しかし、席を譲られた母親

ずっと無言のまま、

譲られた席に座ることもなく

しばらくすると歩き出して行ってしまいました。

 

・・・というのが

前半のあらすじです。

 

ここまで読んでみて

どう思われたでしょうか。

 

今あなたの中にあるのは

「なんで座らないのよ!譲ってやったのに!!」

「ありがとうも何も言わないなんて、なんなの?」

そんな怒りでしょうか。

 

「せっかく席を譲ったのに、座らないなんて」

「勇気を出して席を譲ったのに、恥ずかしい目にあった」

そんな悲しみ、

恥ずかしさでしょうか。

 

実際に起こったこと=事実

  • 声をかけても母親は無言のまま
  • 譲った席に座らず立ち去った

です。

 

いくら他人が行動の理由を考えても、

その行動をとった理由は

母親本人にしか

わからないのです。

 

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【人それぞれの人生を豊かに想像できる人は、怒らない】

では席を譲った60代の女性2人は

どう思ったのでしょうか。

 

「全く何を考えているんでしょうね」

と黒髪の大柄が言った。

 

「譲ってもらったんなら、座ればいいじゃないのよね。

せっかく年寄りが席を譲ってくれたんだから」

 

「年寄りに席を譲られてびっくりしたのかもしれないわよ」

小柄な白髪が笑った。

 

(「晩年の美学を求めて」より引用)


60代の女性のうち

黒髪の女性は怒っています。

 

しかし白髪の女性は

黒髪の女性の怒りを聞きつつも

「こうだったのかもしれないわ」

いくつも理由を想像していくのです。

 

しかし白髪で小柄な女性は、

それらの光景の背後にある人生の陰影を、

優しく補おうとして十分な想像力を働かせていた。

 

人の生涯には、

その時々にいろいろな事情があって、

それは決して他人にはわからないものだから

ということを彼女は信じているのだろう。

 

(「晩年の美学を求めて」より引用)

 

いろいろな考えの人がいることを改めて知る時、

私たちはただにこりと笑う。

 

にやりとする人もいるだろう。

しかし怒りはしない。

 

(「晩年の美学を求めて」より引用)

 

真実はどれなのか

突き詰めていくのではなく、

 

ひとつの事実を

その背景も含めて

いろんな角度から想像してみること。

 

つまり人には

それぞれの人生や見方があることを

本当にわかっていれば、

 

たとえ怒りの感情が沸いたとしても

想像力がその怒りを

吸い取ってくれるのです。

 

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【怒ってすごすより、豊かに想像して笑おう】

 白髪の女性のように

相手の行動理由を想像豊かに考えられる人になれたら

 

きっと

怒りにいつまでも縛られず、

あっという間に笑顔になれるでしょう。

 

これは晩年になれば

必ず身につく力ではありません。

 

逆に言えば、

 

「今」この日から

怒りに縛られない生き方を

選ぶこともできるのです。

 

【今回紹介した本はこちら】

晩年の美学を求めて【電子書籍】[ 曽野綾子 ]